嫡出子と非嫡出子
女子フィギュアの安藤美姫選手が、4月に出産していたことが報道されています。
ミキティ好きの自分としては、「やりやがったな、モロゾフ(怒)」とご立腹でしたが、どうやら既にモロゾフコーチとは別れていて、別のパートナーとのお子様だそうです。
何はともあれ、おめでとうございます!!
選手としてはソチ五輪を目指すようなので、こちらも頑張ってもらいたいと思います。
ところで、ミキティのお相手の男性については発表されておらず、結婚もしていないそうです。
ここで、法律のお話を少し。
法律上の婚姻関係にある男女間に生まれた子を「嫡出子」、法律上の婚姻関係にない男女間に生まれた子を「非嫡出子」といいます。ミキティの子は「非嫡出子」ということですね。
ちなみに、父親が認知し、父母が結婚すれば、その子の立場は「嫡出子」に変化します(民法789条 「準正」といいます。)。
父親が認知すれば、非嫡出子にも相続権が発生します。ところが、「非嫡出子」の法定相続分は「嫡出子」の法定相続分の半分とされています(民法900条4号)。
この規定については、これまでにも合理的理由のない差別で違憲ではないかと言われてきましたが、平成7年の最高裁決定は、法律婚主義に基づいて嫡出子の立場を尊重するとともに、非嫡出子にも配慮して調整を図ったものであり、合理的理由のない差別には当たらないとして、合憲の判断を下しています。
もっとも、このときの最高裁でも5人の反対意見が出されており、学説でも違憲という見解が有力であったと理解しています。
昔の「家制度」の名残がある社会下では、確かに一定の価値ある規定だったかもしれませんが、現在では敢えて嫡出子と非嫡出子とを区別する理由は存在しないと感じる人が多いのではないでしょうか。
出生率が回復しているフランスでは、未婚のまま子どもを産む人が多いそうです。(それだけが出生率回復の原因ではないみたいですが。)
賛否両論あるでしょうが、日本でも未婚のまま子どもを産み育てる人がこれから増えるかもしれません。
嫡出子と非嫡出子の区別を定めた民法900条4号を巡っては、7月10日に最高裁大法廷で弁論が開かれる予定であり、当該規定を合憲とした平成7年決定が見直される可能性大です。
婚姻関係に関して言うと、(私は反対ですが)「夫婦別姓制度」の導入についても議論がありますね。
個人的には、結婚して家庭を築いていくということは、何より素晴らしいことだと思っているのですが、世の中には色んな価値観があって然るべきだとも思います。
今後の家族の在り方を改めて考えるべき時期なのではないでしょうか。
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樫の木総合法律事務所
弁護士 山本純弥